デザインに隠された幸せのメッセージ
カラフル、ポップ、キュート&セクシー。世界中の女性たちを夢中にさせるトキドキのデザインを手がけるシモーヌ・レグノさん。彼のデザインはファンを虜(とりこ)にし、ハッピーにさせる。生まれ育ったイタリアで、幼い頃から日本のアニメに興味を持ち、日本文化をこよなく愛す。希望や幸福という概念をデザインに吹き込んだ彼の作品にはそんな人柄が映し出されている。
イタリア・ローマ出身。芸術家だった母親の影響で、子供の頃からデザインに興味を持ち、TV放映される日本のアニメに魅了。理数系の高校を卒業後、デザインスクールに通い、広告代理店でフリーランスとして働き、グラフィックデザインの道へ。頻繁に日本を訪れ、今では大の日本好き。日本語の「ときどき」がヒントになったtokidokiブランドはレスポートサックやスマッシュ・ボックスのコレクションでも知られる。MTVなど米国で若者に人気のTV番組やトヨタのCMなどのデザインも手掛ける。29歳。ロサンゼルス在住。
ホームページ:http://www.tokidoki.it

■ハワイの人たちはハッピーでリラックス
マタタビ:今回、ハワイを訪れた印象は?

レグノ:
今回、サイン会で初めてハワイへ来ました。今日、ホノルル空港に着いて、ホテルにチェックインし、服も着替えずここに来たから、まだハワイのことがよく分からないんだ。でも、いろんな所に行ってみたいね。やっぱり、ビーチかな!?

マタタビ:トキドキ・イン・ハワイのデザインはとても鮮やかですが、ハワイに対するイメージは?

レグノ:
トロピカルな花でいっぱいで、ハワイの人たちはハッピーでリラックスしているのだろうなって思っていたよ。

■夢中にさせるデザインの原点
マタタビ:なぜグラフィックデザイナーになろうと思ったのですか?

レグノ:
母がアーティストで、小さい頃から、いつも大好きな絵を描いていたんだ。5歳の時に日本のTVアニメに出会い、興味を持ち、日本のことをもっと知りたいって思うようになった。それでアートの世界にますます興味を抱き始めたんだ。毎日、たくさんのスケッチばかりしていたね。

マタタビ:昔と今ではデザインが違いますが、どんな変化が?

レグノ:
昔のデザインは簡素で単純。北斎や広重とか伝統的な日本のデザインのイメージかな。でも、それでは自分が満たされなかったんだ。それからデザインを自分なりにアレンジして、もっと自分らしいハッピーなデザインを描くようになった。今のデザインは見ていても楽しいね。カラフルだし、キレイでキュートでセクシー、いろいろな要素が入ってるよ。身近に共感できるデザインだね。今では自分だけのオリジナルデザインを表現することができて、とても嬉しいよ。

■日系イタリア人!?
マタタビ:興味を持った日本のアニメは?

レグノ:
キャンディーキャンディー、イタリアで人気だった北斗の拳やドラゴンボールなんかを子供の頃にTVで見てました。特に1980年代の古いデザインが好きで、アニメを通して日本を知り、日本への興味を掻き立てられたって感じかな。
マタタビ:日本に行かれたことは?

レグノ:
日本が大好きで仕方ない。もう10回以上訪問したし、今でも毎年2回ぐらい行くけど、毎回新しい発見があって、見るもの、感じるものすべてが新鮮。寿司やフグ、刺身が好きだし、漢字も興味深い。日本でも、いろんな場所を旅行した。特に、関西が好き。奈良、京都、大阪とかね。

マタタビ:日本語を勉強しているとお聞きしましたが、関西弁はどうですか?

レグノ:
もちろん、知ってるよ。めっちゃおもろいっ!とかね。日本語の響きが好きなんだ。

マタタビ:日本の何が一番興味を引かれるのですか?

レグノ:
人の温かさ。僕の出会った日本人はみんな、とても親切な人たちばかり。たくさんの友達もできたし。もちろん文化、歴史やファッションなど、日本という国すべてが魅力的。日本にいると、家に帰ったっていう不思議な気持ちになるんだ。日本って、伝統的なお寺や庭園、自然や文化を残しつつも、近代的な成長を遂げているよね。毎日の生活の中に、伝統と現代が生きていることを尊敬している。日本の素晴らしさは、語りきれないくらいだよ。

マタタビ:日本語で好きな言葉は?
レグノ:
もちろん「ときどき」。あとは、「雑魚寝(ざこね)」や「花見」。どの言葉も、みんなで一緒に楽しむっていう日本人の温かさを感じるね。できれば、おもしろいサウンドの言葉が好きだな。「ピカピカ、ツブツブ、キラキラ」とかね。なんだか、楽しい気持ちになるよね。

■最高にハッピーなデザインの仕事
マタタビ:新しいデザインはどういう風にイメージするのですか?

レグノ:
24時間ずっとデザインのことで頭がいっぱい。休む暇なんてないけど、好きなことだから楽しいよ。毎日がクリエイティブ。歩いている時とか、人、物体、いつでもどこでも見るものすべてが新しいデザインのヒント。デザインに関しては絶対に妥協したくないし、自分の仕事やスタイルにベストを尽くさなきゃ!

マタタビ:デザインに対するコンセプトは?

レグノ:
僕のデザインは対照的。1つがシンプルなデザイン。もう1つは複雑。今回のレスポのバックだって、無地のバックはシンプルで大人っぽい。もう片方が細かいところまで凝ったキュートなデザインの2種類あるだろう。これはトキドキのデザインにも言えることなんだ。一方がキュートだったら、片方はセクシーで大人っぽくてイノセント。その対照的な2つのデザインを共存させたいと思っている。人だって、大人っぽいのにあどけなさが残っていたり、普段かわいらしいのにとても美しく魅力的な表情を見せたり、必ず二面性を持っているだろう。その誰の中にも存在する、両極性の魅力をデザインで表現したいと常々考えているよ。

マタタビ:新作Winter2006のテーマはなぜ「Heaven & Hell(天国と地獄)」なのですか?

レグノ:
トキドキシリーズは毎回、2つの対照的なテーマなんだ。今回は天使と悪魔、天国と地獄。この世界って、良いことと悪いことがいつも隣り合わせだからね。

■トキドキのセクシーなアジア女性
マタタビ:多くのセクシーなアジア系女性をデザインの中に見かけますが?

レグノ:
日本の女性は礼儀正しく、優しく、デリケートなのに、強い心を持っていると思うよ。かわいらしくて、シャイなところも魅力的だし。とてもバランスのとれた、他の国とは違った特別な女性らしさを感じるね。

マタタビ:(今回、ハワイに同行している)彼女のことをお聞きしてもいいですか?

レグノ:
カオリとはLAのジャパニーズ・バーで彼女がバイトしている時に知り合った。彼女は元々、アート専攻の学生だったから、今では僕の大切なアシスタント。とても素晴らしいパートナーだよ。

■温めてきた夢を実現
マタタビ:トキドキとは、どういう意味なのですか?

レグノ:
日本語でいうと普通はトキドキって「時おり、たまにって」意味だけど、僕の言うトキドキは「人生の転機や希望」。この名前を思いついた時の僕は大きな夢を持っていて、きっと叶うときがくるって信じていたんだ。ずっと温めてきた夢を実現した時、僕のトキドキが訪れた。誰にもそれぞれの人生があって、必ずいつか願っていた夢が叶うチャンスが来るよね。その素晴らしい瞬間を意味してる。

マタタビ:デザインを通して伝えたいことは?

レグノ:
いつもシンプルだけど、ポジティブなメッセージを伝えたい。例えば、フレンドシップや楽しむこと。ごく普通の生活のようだけど、この上なく幸福で、かけがえのない大切なものだよね。デザインを通して、みんなにハッピーを届けたいと考えているよ。
■トキドキ、それは誰にでも訪れる人生の転機
マタタビ:人生最大の転機は?

レグノ:
僕のHPを見て才能を発掘してくれた米国ハード・キャンディー社の創始者から1通のメールを受け取ったことが契機で、LAに移り住んだこと。リスクもたくさんあったけど、僕の人生を大きく変え、成功へと導いてくれた。自分のウェブサイトも、初めはアクセスゼロだったのが、あっという間に1日24万人以上の人たちが見てくれるようになった。今では多くのクライアントがいるし、音楽番組のMTVやToyotaのデザインも手がけているよ。やっと思い描いていた夢や希望が花開いたんだ。自分の大好きなデザインという仕事ができて最高! でも、まだ始まったばかりだから、もっともっと新しいことに挑戦したいな。

■夢は尽きることがない
マタタビ:今後、挑戦したいことは?

レグノ:
実は飛行機に自分のデザインをしたいと思っている。とにかく夢はいっぱいある。夢は尽きることがないよ。やりたいことは山ほどあるけど、一つひとつ大切に叶えていきたい。デザインって、夢を持つ仕事だと思うし、僕のデザインを通して、世界中の人たちと夢や希望を共有できたら最高に嬉しいよ。

マタタビ:人生のゴールは?

レグノ:
LA、イタリア、日本を行き来することかな。LAは街も人も大好きだし、何より僕の大好きなデザインの仕事ができるから。イタリアには家族がいるし、クリスマスとかゆっくり過ごしたいな。日本は住みたいぐらい大好きだから、3ヵ月とか長期で行きたいな。でも、今は仕事が忙しいから、ゆっくり滞在できないんだ。夢に近づくために、もっと頑張らなくちゃ。僕は本当にデザインの仕事ができて幸せだよ。僕にとって、これ以上幸福な仕事はないからね。
 
編集後記
陽気で親切にファンと接していたレグノさん。長〜いインタビューにも最後まで丁寧に答えてくださいました。自分の仕事を心から愛し、常に向上心を持ち、夢を叶えるために努力している注目のデザイナー。何に対してもポジティブでエンジョイするという姿勢に感銘! 本当に素敵な方で、お話を伺いながら多くのハッピーを分けてもらいました。人間の幸福や希望をデザインで追求するレグノさん。彼のデザインが心を引きつける理由の一端が分かったような気がしました。
(2007年1月)