マタタビ:先ほど沙耶さんが都会で自然を大切にするには、まず自分を大切にすることだというお話をなさいました。そのために『食』に気をつかっていらっしゃると。それ以外で何か日々の生活で心がけていることはありますか?
高樹:
お金とか友情とか愛は取り戻すことができるでしょう?でも時間だけは取り戻せないじゃない?今、こうしている間にもどんどん時間は過ぎてゆく。だから楽しい時間や自分にとって気持ちいい時間をできるだけ自分に残してあげるようにしています。怒ったり、人のせいにするような時間は作らないように心がけているの。毎日過ぎていく時間をクリエイトするのは自分だから、それを楽しくするということ。これをまず第一に考えています。
マタタビ:
凡人の私にすると、心がけからして素晴らしいなと。
高樹:
いえいえ、自分が好きなのよ。自分が可愛いし(笑)。どうせだったら毎日楽しく生きていこうって、ね。最近ヨガが流行っていて毎日ヨガしましょうというような事が言われてるけれど、毎日積み重ねることが人間を形成していくと思うのね。だから10年間文句を言って怒って過ごしてきた人と、毎日ありがとうって人に感謝して、楽しく過ごしてきた人と、10年後の顔を比べたらかなり違いが出ると思うの。だからヨガ的な生き方というのは、1分1秒を大切にしながらどう生きていくかということを大切にするんですって。そうすればいい歳の取り方ができるかなって思います。なかなか実践するのは難しいですけれど(笑)。
マタタビ:
なるほど、そういった意味も含めて沙耶さんはヨガが好きなのですね。
マタタビ:最近ハマっていることについて少しお話いただけますか?
高樹:
2002年にフリーダイビングの大会に出て日本一になり、次は世界一かなって思った瞬間もあったのですが、世界一になるには後20mや30m深く潜らないと駄目なんですね。だから命が危ないので大会は止めることにして、生徒さんに教えていました。
でもせっかく追求していたのだから、もうひとつ何かできないかと考えて、去年発案して始めたことがあります。人魚のビデオをつくっているの。内容としては、一応は男女の人魚のラブストーリーですが、メインとなるのは世界中のきれいな海をふたりの人魚が泳いでいる映像ですね。バックには音楽しか流さないので環境ビデオとして見ていただけると思います。見てもらえれば気持ちよくなってもらえると思いますよ。今年の夏はその撮影でした。
マタタビ:人魚ということは歩くこともできない状態で?
高樹:
そうそう。一本足でヒレがついた状態ですよ。それにマスクをしているとおかしいので、マスクなしで水中で撮影しました。
マタタビ:目、真っ赤になるんじゃないですか?
高樹:
そうですよ。海を知っている人はみんな驚きますよ。あり得ないって。でも海を知らない人にとってはマスクをしていることの方があり得ないですからね。過酷だったんです。
マタタビ:たしかに過酷ですね。リリースはいつですか?
高樹:
来年の春頃、DVDで売ろうかなと思っています。
マタタビ:
素敵なDVDになりそうですね。私がお話を聞いたなかでイメージしているのは、イルカのムービーでよくあるように、画面全体が青い中を泳いでいくといった感じです。
高樹:
そうです。イルカの代わりに人魚が泳いでいると思っていただければ。
マタタビ:
やはり泳ぎが上手でないと無理ですね。
高樹:
そうですね。それはフリーダイビングをやったからこそ出来たと思います。CGや合成はやっていないし、生身の人間が足ヒレつけて泳いでいるので嘘はないですから、見ている人も何となく気持ちよくなってもらえると思いますよ。
マタタビ:編集もなさるのですか?
高樹:
編集はある程度のところまでカメラマンにやってもらって、いろいろな人に見せながら手を加えていくつもり。すごく手作り風なの。プロがいろいろと技術を加えたものというよりも、自分たちで作り上げていくようにしたいの。
マタタビ:それがリリースされるのが春頃ということなので、それまではその仕事がメインですね?
高樹:
夏前に、そろそろみんなが海に行きたくなってくる前にリリースしようかなって。どうせ作るのだから、売りたいというより沢山の人に見てもらいたいって気持ちが強いですね。夏前の方がみんなの触手が伸びるでしょう?
マタタビ:その先の話ですが、お仕事でもプライベートでも結構ですが、何かご予定はありますか?
高樹:
まずは千葉の家を完成させないと。いろいろな所で家を建てるって公言してきたから、まずは家が完成しないと、その先何をやるのか先には進めない感じ。その後はひらめきが生まれるまで、今は先のことは考えられないかな。
マタタビ:
家をつくるということはエネルギーがいることですよね。
高樹:
そうね。それに今までボヘミアン的な生き方をしていたんです。今までは根付かずに旅をしながら自分探しをしていたから、これからは家を建てるだけでなく作物を育てて、初めて一カ所に落ちついて暮らすようになると思う。植物を育てる農業的なことって、その場所にいつもいないと駄目でしょう?放ったらかしにはできないしね。自分の人生の中で初めて根付いた生活になり、旅人の人生は終わり。
マタタビ:
20代の女優さん、30代のフリーダイビングに対して、40代は一カ所にとどまり生活するということなのでしょうか?
高樹:
でも、旅は止めたくないの。だから自分の基礎となる『生み出すための場所』を作っておいて、3ヶ月かそれより短い時期になるかもしれないけれど、日本がどうにも寒くなる時期に旅に出たいなっと。そうやって地球を楽しむことは続けていきたいの。旅は止められない。
マタタビ:それはハワイに限らずということですね。
高樹:
そうですね。地球の素晴らしい所を見て死にたいから。
マタタビ:それでは海ということでもないのでしょうか?
高樹:
そうですね。私の中では海はもう達成しちゃったみたいな感覚はあります。もう水深50mまで潜れば達成しちゃったような気になるんですね。だから全く違ったものに興味を持つかもしれない。
マタタビ:空…とか???
高樹:
(笑)そうね。この間スカイダイビングやったの。それはそれで楽しかった〜〜♪♪
マタタビ:
怖くないですか?
高樹:
怖かったよ、最初は。でもやってみたら気持ちよかった〜。
マタタビ:
そうですか?やっぱり私が怖いと思うことと沙耶さんの怖いと思うことってレベルが違う気がする……。
高樹:
私ってやんちゃなのね。それに死ぬときは死ぬって思っているから、生きている事に対して信頼があるの。神様は私が必要だと思ったら生かしておいてくれるから。チャレンジするチャンスを与えられたら、それをやらなきゃって思っちゃう。
マタタビ:それでは人生のモットーとは?
高樹:
自分の与えられているものは前から決まっていると思うの。私は輪廻とか、そういったことを信じる方だから、今回生まれてきたことには何かテーマが決まっているような気がする。そのテーマに沿ったものが自分の目の前に置かれているような気がして、それを次々に楽しみながら取り組んでいけば人生まっとうできるかなと思います。
マタタビ:ではすでに生まれたときから人生決まっていると?
高樹:
そうね。テーマが決まっていて、もちろん自分で選択してそれをしないこともできるの。人生って迷いながら過ごすものだから、寄り道もいっぱいするしね。でも寄り道しても私は本筋に戻される気がして。寄り道も必要なことかもしれないし、寄り道しながら自分の目の前に出て来る興味のあることには進んでチャレンジしていこうかなっと思います。
マタタビ:そういう前向きな姿勢はご自分ではどこから生まれてくるものだと思いますか?
高樹:
そうね…。なんか安定して満足すると人間は元気無くなると思うのです。いいと思ったらがんばる必要がなくなるでしょう?だから満足しない状態を保ちながら、死ぬまで学んだり体験していきたいのね。そしてその体験から何かを学んでいきたいと思う気持ちが強いからかもしれない。
マタタビ:
メゲちゃうこととかなさそうな感じがしますが。
高樹:
メゲてもそれをバネにしちゃう(笑)。メゲ切ることはないかな。もちろんメゲることは沢山あるのよ。でもそういう時“このメゲは何から来るのかな”と“何を学ぶためのメゲなんだろう”と考えてチャレンジしてます。
マタタビ:
それでは本当にガクっとなっている時間は短いのですね。
高樹:
ガクってすることって、よくよく考えてみると、自分が勝手に描いていたことと違うからガクってくるのよ。
マタタビ:そうか…。私のガクっていうのが大きいのはそれだけ多くを期待しているからなんでしょうね。
高樹:
そうかもね。もちろん夢を描いたり目標をつくることは大切だけれど、変な期待や勝手に自分が作り出した幻想によって人間は失望させられるの。それが私の見つけ出した法則です。私ってそういった法則を見つけ出すのが好きなの(笑)。なんか真理を探るのって楽しいでしょう?自分に起る不幸なことはその真理からはずれたときに起ってくるって思っています。だから不幸が起った時、それが起った理由を苦しみながら探す!マゾ的かもしれないね。
マタタビ:冷静に分析するって大切だけれど、なかなか出来ることではないですよね。
高樹:
それは私が神様や宇宙の法則の存在を絶対的に信じているから、それに沿った生き方をしていれば、不幸なことなんて起る訳ないという考え方から来ているわけ。そうすれば自分が不幸だと思ったら、法則に合わない間違ったことをしているんだって考え直すことができるの。何が悪かったのか、探っていくのね。
マタタビ:じゃあ、今度なにかあったら、そういう風に考えてみます。
高樹:
一歩引いて客観的に考えてみると、たいがい自分のわがままとか欲とか、そういったものが原因だったりするのよ。旨く行かないときこそ、今まで気がついていない自分に気がついたり、新たな幸せを見つけられるチャンスなのね。私は執着心というものも人を不幸にすると思っているの。
マタタビ:
そうですね。
高樹:
でも生きてる以上、それを切り離すのは難しいよね。でもさっき言った法則ひとつ知っていると、“ほらほら、また執着してるよ”って笑って自分を戒めることができるのよ。それでも執着していたいって思っても、それはとことんバッドにならないから大丈夫。悪いって分かっていてやるのは、違う自分がいて客観的に見れているから。
この2、3年自分との会話をするようになって、今は自分にとっての転機だと思うの。20代は女優かつ物欲主義者としてがんばって来たし、30代は海を中心に活動して自分をひとつ確立できたと思うし、気持ちよく生きて来られたと思う。すごくハッピーだったしね。そして40代を迎えた今、パーマカルチャーをやって土に返していくとか、何かを育むとか、謙虚に質素に生きるとか、そういったことを楽しんでいこうという事は分かっているの。でも“女優さんやる”とか“フリーダイビングやる”とか、そういった核となる部分がまだ見つかっていないのね。今、それを探している最中。早く見つけたいとは思うんだけれど。
マタタビ:
そういった柱が見つかったときの沙耶さんは強いですよね。
高樹:
それは走るでしょうね。でもターゲットを見つけてそれに向かって突き進んでいった20代、30代の生き方は、実は物質欲と大差なかったのではないかって少し思うの。
マタタビ:そうですかね…。
高樹:
うん、チャンピオンになって喜びをシェアするということも、女優で有名なることも、つきつめて考えると自分のエゴを満足させるための手段だったのかも…と最近そう思うの。だから40代から先はそういったことから完全に切り離した修行みたいなものになるのかもしれない。
マタタビ:そのレベルで考えているのであれば、まさに修行ですね。
高樹:
そのためには地道に野菜を育て、メッセンジャーとしての役割を果たすということが40代のメインになることかもしれないなって思う。どこかに行って華やかに何かをするというのでなく、もっと堅実に、地に足をつけた生き方になるのかもしれない。でもそれは私にとって、一番難しいことなの。
マタタビ:野菜をつくるような生活は、きっと爆発的な喜びはないかもしれないけれど、小さな小さな幸せが日々あるという感じなのでしょうか。
高樹:
今までは海に合わせなければならないということはあったにせよ、自分のペースで全部やってきたから、『待つ』ということがなかったの。植物の世界に入っていったら、もっとスローペースでしょう?『待つ』ということを学ばされるのかなってね。
マタタビ:
実は私も今年40歳なんです。だから『私なり』のようなものを確立したいとか、自分とはと問いただす気持ちが分かります。
高樹:
そうよね。40ってみんな節目なんだよね。難しい歳だよね。
マタタビ:
そうですね。
高樹:
20代の若い子を見るとキラキラしていて、私は確実に容姿が衰えてきたって感じるの。
マタタビ:いやいや、沙耶さんはそんなことはないです。
高樹:
ううん、感じるよ。でもそれも物質に対する執着だから、そういうことを切り離しても輝ける自分をつくっていかないとね。私たちも物質主義で育ってきたけれど、今の若い子たちはもっと豊かで裕福ななかで育っているでしょう?だからこれから先、今は若い子が私たちみたいな歳になって、精神的に混乱するようなことが増えると思うの。そのためにも私はメッセンジャーとしてこの先何かを伝えていければと思います。
マタタビ:とても参考になるお話でした。ありがとうございました。
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