セレブに愛されるスキンケアブランド「ピュアハパ」の創始者 ネイディーン・ケアラオカポノ・キム‐オロナさん
シャロン・ストーン、ジェシカ・シンプソン、ハル・ベリーら、多くのセレブに愛されているスキンケアブランド「ピュアハパ」の創始者ネイディーン・ケアラオカポノ・キム‐オロナさん。ハワイに伝わる植物やフルーツの効能を踏まえて創られた「ピュアハパ」の誕生秘話、彼女自身のビジネス観、企業オーナーとしての立場だけではなく、働く女性として、妻として、母親としての彼女の素顔に迫ってみました。
サンフランシスコ生まれ。ハワイアンだった祖母の影響で幼少からハワイになじみが深く、祖母を通して「ピュアハパ」の基盤となるハワイの植物やフルーツの様々な効能を学ぶ。ハイテク系の大企業「ブリティッシュ・テレコム」で長年セールスパーソンとしてキャリアを磨き、成功を収めたが、あるできごとがきっかけで家族のためにリタイアを決意。そうしてつかんだ時間を子供や女性のためのチャリティーに費やす生活へ。数年後、新たなビジネスのアイデアが浮かび、2005年に「ピュアハパ」を立ち上げた。今後、日本進出も視野に入れ精力的に活動している。
ウエブサイト:http://purehapa.com

「ピュアハパ」の起源
マタタビ:早速ですが「ピュアハパ」という名前の由来は?

ネイディーン:
ハワイ語の「ハパ」は「ミックス」と言う意味があるの。私自身が「ハパ」だからブランド名に「この言葉を!」と思ったわ。なぜ「ピュア」という言葉をつけたかと言うと、本来、「ハパ」という言葉はハワイアンのミックスの人々のことを指していたの。でも、アメリカ本土ではこの言葉の意味自体がとても曖昧になっていて、ハワイアンとのミックスでない人も「ハパ」と呼ばれたり、あるいは自分自身をそう呼んでいるわ。それが悪いと言っているわけではないの。でも、私は純粋な(ピュア)な「ハパ」であると言うことを知ってほしくて、「ハパ」の前に「ピュア」を置いて「ピュアハパ」にしたのよ。

マタタビ:とても素敵な由来ですね。でも、どこで思いついたのですか?

ネイディーン:
えっと、あれは確か、バケーションでラナイ島に滞在中だった時よ。4年くらい前かしら。そこで、スキンケアラインの会社を始めようと思ったの。その時に、ブランド名のアイデアも思い浮かんだわ。それからね、「ピュアハパ」のロゴの一部になっているパイナップルは、ラナイ島を象徴するものなの。ラナイ島は昔、パイナップルの産地で有名だったでしょ?

マタタビ:なるほど!

ネイディーン:
あらやだ! わたし、サングラスを着けたままだったのね。ごめんなさい、失礼よね。はずすわね!(サングラスをはずす)

マタタビ:どちらでも結構ですよ(笑い)。

マタタビ:では、質問に戻りますね(笑い)。どうして会社を立ち上げようと思ったのですか?

ネイディーン:
それまでハイテク企業の「ブリティッシュ・テレコム」でセールウーマンをしていたの。とても忙しかったわ。それで、ある事件がきっかけでその会社をリタイアしたの。その後、子供たちが大学生になって手が離れて世話をすることもないし、とっても退屈で、たくさんの時間を恵まれない女性と子供たちのためのチャリティーに参加して過ごしたりしたの。
でも、やっぱり何かしたいと思って、それなら自分の会社を立ち上げようって。どんな会社って考えているときに、「私は買い物が好きでしょ、それからスキンケア系の商品も好き… よし、これしかない!」って思ったの。その時、ちょうどラナイ島のビーチに座って、クジラを眺めていた時だったわ。

マタタビ:行動力がありますね。でも、ブリティッシュ・テレコムほどの大企業を、どうして辞めたのですか?

ネイディーン:
リタイアした主な理由は引っ越しかしら。メリーランド州に引越しして、会社と自宅、それからワシントンDCを行ったり来たりしていて、とても忙しい日が続き、家族との時間があまり持てなかったの。決定的な理由は、引っ越したばかりの時、下の息子が新しい学校でフットボールのチームに入ったの。そこで知り合った仲良しの友人がある日、私の息子の目の前で交通事故に遭って亡くなってしまったの。当時、夫も働いていたし、私は大きな会議を中断して、すぐに自宅のあるメリーランドに戻ったわ。その事故が原因で、息子がトラウマ(心的外傷)のようになってしまって、母親として、家族のためにキャリアを捨てたわ。家族はとても大切なものだから。

マタタビ:そうだったんですか。「ピュアハパ」を始めるために辞めたのではなかったのですね?

ネイディーン:
違うわ。ピュアハパを始めようと思ったのは、それから数年後のことなの。

ハワイの原料と多民族的背景
マタタビ:「ピュアハパ」の商品にはマカダミアナッツオイル、パパイヤ、ククイナッツ、パイナップル、ハウピア、ノニなど、ハワイの植物やフルーツがたくさん使われていますね?

ネイディーン:
母方の祖母がハワイアンで、祖父は純粋なハワイアンだったの。ハワイの植物やフルーツを使おうって思ったのは祖母の影響が強いわね。幼少時代、彼女とサンフランシスコで一緒に暮らして、ハワイの植物やフルーツの効能を彼女から自然と学んだわ。その他にもハワイの歴史や文化についてたくさん教わったわね。

マタタビ:サンフランシスコでハワイのことを学んだのですか?

ネイディーン:
そうよね。でも祖母はサンフランシスコとハワイを行ったり来たりしていたし、私自身ハワイがとても好きだったの。だから、彼女からハワイについて教えてもらうことは、とても楽しかったわ。

マタタビ:多民族的なバックグラウンドをお持ちだと聞いたのですが?

ネイディーン:
そうよ。私の父はハワイで生まれ育ったのだけれど、100%コリアンなの。それから母方にハワイアン、アイリッシュ、チャイニーズが入っているから、こんな感じの私が生まれたってわけ(自分を指しながら)!

マタタビ:どおりでアジア的なお顔立ちですね。

マタタビ:
朝鮮人参や小豆の粉、アジアの植物が含まれているのはバックグラウンドと関係あるでしょうか?

ネイディーン:
そうなの。父が肺ガンで、サンフランシスコの医師が病名を告げて以来、朝鮮人参とイネ科の草をミキサーにかけて1日3回毎日飲み続けたの。医師は「彼の余命は長くない」と言ったけれど、12年間も寿命を延ばしたのよ。だから朝鮮人参は身体に良いと言うことを知っていたし、商品開発の段階で原料の一部に加えたの。

マタタビ:なるほど。お父様の実体験に基づいてだったのですね。では、小豆の粉は?

ネイディーン:
それは、ハワイアンの祖母から習ったのよ。オアフ島に住んでいたとき、彼女には日本人のお友達がたくさんいたの。彼らが小豆の粉の効能を私の祖母に教え、そのアイデアを私が商品に取り入れたってワケ。小豆の粉で顔を洗うと、古い角質を除去してくれるからお肌がツルツルになるんですよ。

長い名前について
マタタビ:ネイディーンさんのお名前って、とっても長いですよね!

ネイディーン:
そうよね。だからメディアの方はよく省略したりしてるわ。

マタタビ:「ケアラオカポノ」はハワイ語ですか?

ネイディーン:
そうよ。ハワイ語で「正義の道」という意味があるの。

マタタビ:カッコいい〜!

ネイディーン:
でも、本当はもっと優しくてハワイらしい名前が良かったわ。ハワイのお花の名前とかね。

マタタビ:「キム」っていうのは、もしかして韓国名ですか?

ネイディーン:
そうよ。「キム」は私の旧姓。コリアンのラストネームよ。それから「オロナ」は結婚してからの主人のラストネーム。ファーストネームの「ネイディーン(=Nadyne)」は「Na」の部分は祖母の名前「ナンシー(=Nancy)」の頭文字を取って。「dyne」の部分は母の名前「Venedyne」の最後の部分から付けられた名前なの。

マタタビ:名前自体がマルチ・エスニックバックグラウンドを現していますね。

マタタビ:多彩なカルチャーの中で、どれが一番自分に影響していると思いますか?

ネイディーン:
う〜ん、難しい質問ね。ハワイ文化かしら。いや、たぶん、韓国もハワイもどちらとも同じくらい私の人生に影響を与えていると思うわ。そういえば、近く「ピュアハパ」のパッケージを変えるつもりなのだけど、ニューデザインで気に入っている1つの理由は、ハワイっぽい要素やアジアの着物っぽい要素のどちらも表現していることなの。ハワイアンとアジアの融合。つまり私ね。

マタタビ:デザインはすべてご自分で?

ネイディーン:
そうよ。デザイン会社に依頼しているけど、私の思う通りに仕上げてくれている。これ(写真参照)は5回目の修正でようやく仕上がった完成品なの。「ピュアハパ」の商品は私同然。私の名前みたいなものよ。だから妥協は絶対にしたくなかったの。

ビジネス成功の鍵
マタタビ:香りが良くて、お肌にもやさしいと評判の「ピュアハパ」ですが、商品開発はどのように?

ネイディーン:
ラナイ島で「ピュアハパ」を始めようと決めたあと、家に戻ってからすぐインターネットで様々な原料の効能などを調べたの。それから、自宅のキッチンで、それらを配合したりして研究を繰り返したの。その結果をもとに、カリフォルニアにある研究所に持って行ったの。

マタタビ:研究にはどれくらい費やしたのですか?

ネイディーン:
えっと、2004年の終わり頃に始めたでしょ、それから試験を繰り返して、やっと2005年の7月に全ての工程を終えて、同年9月に営業を開始したわ。

マタタビ:新商品を開発するにあたって最も心がけていることは?

ネイディーン:
それはもちろん使ったときの顔や体へのメリットよ。肌を落ち着かせる効果とか、身体にやさしくマイルドなものを作ることを心がけているわ。それから臭いを強くしすぎないことも大事ね。

マタタビ:「ピュアハパ」は本当に香りが上品ですね

マタタビ:では、会社運営で大切なことは?

ネイディーン:
実は最初、趣味的な感覚でビジネスをしたいと思っていたの。でも、予想外に「ピュアハパ」が好評で、セレブの方をはじめ、みなさんとっても「ピュアハパ」を気に入ってくれたわ。だから、ビジネスが拡大するに連れて品位を維持することが一番大変かしら。

マタタビ:なるほど。

ネイディーン:
それから、企業として成長はしたいと強く願う反面、それに伴ってサービスの質を下げたくないと常に思っているの。だから、ハートの良い人材を常にチョイスすることと、商品研究や郵送システム、カスタマーケアの徹底に努めているわ。お客様を大切にするのはもちろん、ベンダーさんや会社のスタッフも大切にしなければ決してカスタマーケアの質は上がらないと思っているから。それから、これは最も基本的なことだけど、常に人にやさしくすることね!

マタタビ:ところで、2005年の米国テレビ界の最高峰「エミー賞」の受賞式で手渡されたギフトバッグの商品が「ピュアハパ」だったそうですね?

ネイディーン:
おかげで多くのセレブたちが絶賛してくれたの。これがきっかけでファンになって、今でもインターネットで注文してくれるセレブたちがいるのよ。今「デスパレートワイフ」というドラマに出演しているテリ・ハッチャーも愛用してくれているわ。

マタタビ:セレブのお墨付きってことですね。

ネイディーン:
初めの頃は、セレブが愛用してくれるだけでとっても満足だったわ。でも、マーケットを拡大するためには、もっと一般の方にも愛用してもらいたいと思っているの。余談ですけど、彼ら(セレブ)はタダで商品をほしがることが多いの(笑い)。みなさん、私にとてもよくしてくれてナイスな方ばかりなんだけどね・・・

今後の夢
マタタビ:日本にご旅行で行かれるなど、日本好きのネイディーンさんですが、日本に出店のご計画は?

ネイディーン:
日本はとってもクリーンで大好き! 今、色々なところと掛け合って、実は日本に店舗を出す準備はしているの。でも、なかなか難しいわ。いろいろ法的な規制が厳しいの。例えば、原料のリストの提出や、それについての細かな説明とかね。できれば、来年中に日本にお店を出したいと思っている。まあ、とにかく日本政府の許可が下りてからの話だけどね。色々と難しいから。

マタタビ:そうですか。今後の「ピュアハパ」については?

ネイディーン:
「ピュアハパを通して、我が祖父母に敬意を表す」というのが創立前からの目標だったの。それから、このビジネスを成功させて利益を社会に還元するということも大事ね。今は恵まれない子供たちのために基金をつくろうと考えているわ。自分だけの成功で終わらせることはしたくないわね。
 
編集後記
来年、お孫さんが誕生し、お婆ちゃんになるとは思えないほど、若々しく美しいネイディーンさん。インタビューを通して、人との繋がりをとても大切にしているということを実感。緊張する若いマタタビの取材スタッフに気を配り、その場の雰囲気を和らげる彼女らしい配慮にも感謝。多くの人に支えられ、また支える彼女の人柄なしには「ピュアハパ」は誕生しなかっただろうし、成功もなかっただろうと確信しました。日本びいきで、取材後に日本で行ったお気に入りのスポットやエピソードについてもオフレコで楽しそうに話してくれました。やはり日米を問わず、ビジネス成功の陰には多くの共通点があると思えるインタビューでした。(2007年9月)